お誕生日キャラに合わせて更新するのが恒例となりつつある、モジュ×モジュに似合いそうな飲み物プチ企画。今回は鏡音モジュで、スタイリッシュエナジーRLとソーダ水です!
「クラスのムードメーカーで、コントやら漫才やらで周囲を笑わせていそう!」という個人的イメージからスタエナちゃんを勝手に関西弁設定にしていますが、生まれも育ちも関東な為いまいち自信がありませんwでも楽しい。スタエナちゃんはどんな喋り方でも可愛いですね!
元気っ子→夏っぽいイメージがあったので、しゅわしゅわサイダーが似合いそうだなぁと思いました。炭酸の様に弾けるスタエナちゃんの健康的な姿に元気をもらい隊。
ギラギラと降り注ぐ太陽。うだるような暑さ。
ぼくもぼくの相方も夏は大好きやけど、さすがにこんな気温の中、全速力の追いかけっこなんてやるもんやなかった。
最初はヒンヤリ気持ちよかった体育館の床も寝ころんでるうちにじわじわ温くなってくるし、身体からは絶え間なく汗が噴き出てきて…………あかん、このままやと蒸発してまう!
そっと隣を見上げると、相方――エナちゃんは足を広げて床にべたーっと座り込んでいて、でもぼくと比べたらまだちょっと元気そうに見えた。エナちゃん、ぼくより体力あるからなぁ……。
「なぁ、エナちゃん……」
「なぁにぃ~?」
「ぼくもう動けそうにないわ……。悪いけど、代わりに何か冷たい飲み物買ってきてくれへん?」
エナジーダウン。早急に水分を補給せんと、ほんまに干からびてミイラになってしまうんやないやろか。
縋るような思いで懇願すると、ジャージの袖で汗を拭きとっていたエナちゃんは、ぼくの顔を見てにかっと笑う。
「ええで! ここでまっといてな」
めんどいからいややー! と断れる思うたけど、エナちゃんは文句ひとつ言わずに立ち上がって、パタパタと入り口の方にある自販機へと駆けていった。
めずらしいこともあるもんやなぁとその後ろ姿を眺めてると、エナちゃんはなんや不自然な動きをしたあと、口元をむふふ、と緩ませてこちらへ戻ってきた。
「いくでスーちゃん、キャッチ!」
「わわっ!」
掛け声と同時に500mlのボトルがぽーん、と放り投げられる。うっわ、随分ぞんざいやなぁ!
慌てて体を起こして手を伸ばしたけど、ボトルの表面は水滴でびちょびちょになってて、掴んだ瞬間つるっと滑った。……無念、ペットボトルは床に落ちて、底の一部がべしゃりとつぶれた。
「あーもう、いきなし投げるとか酷いやん、ぼくもう動けんって言ったんに……」
「ついや、つい! 中身は無事なんやし、なーんも問題あらへんて」
「そーゆーことやなくて……」
全然悪いやなんて思うて無さそな態度にがっくり肩を落とすと、エナちゃんはえへへ、と笑って舌をペロッと出す。……それ、あざとすぎるわ。
言いたいことはまだ山ほどあるねんけど……まあ、おつかい行ってもろたんはホンマ助かったし、これ以上文句は言われへんね。
水滴の落ちるボトルを首筋にぴたーとつける。キンキン、とまではいかんけど、ヒンヤリ冷たい感触は火照った体をクールダウンさせるんには最適やった。
あーきもちいい。何か水浴びでもしたい気分やわ。
そんな考えが浮かぶくらいには快適やったけど、これ以上やっとったらせっかくのジュースが温くなってまう。
名残を惜しむ様にボトルを首から離し、シンプルなラベルの内側、透明な液体に浮かぶ無数の気泡を眺めて―――…
「……エナちゃん。ひょっとしてこれ、思い切り振ったやろ?」
「えー、知らへんよ?」
エナちゃんはぼくの問いかけに、とぼけた顔して首をかしげる。
念のためもう一回ボトルを確認すると、液体の上の方にはやっぱり白い泡の層。投げたり落としたりするだけでこんなんなるんやろか?
「なら、確認してみてもええよな?」
「ふぇ?」
不思議そうな顔で瞬きをする相棒に向けて照準をロックオン。プラスチック製のふたをカチリと捻ると、ぎゅうぎゅうと圧迫されていた液体が、まるでパーティグッズのクラッカーみたいにぱーんと飛び出した。
白い泡をまき散らしてはじけ飛ぶソーダ水は目の前の少女の顔面に見事ヒット。エナちゃんは何が起こったのか頭が追い付かんみたいで、甘い液体をぽたぽたと滴らせながら目を丸くしていた。
「ほらみぃ、やっぱ振ってたやん!」
予想が当たってたことへの安心感と、イタズラを回避してやったことへの優越感。そんな簡単に騙されたりなんかせぇへんよ! と得意げに鼻息吹き出すと、怒るかなー思うたエナちゃんの目がギランギランに輝き始めた。
「ふっふっふ……やってくれたやないかスーちゃん……」
前髪からぽたぽたと雫を滴らせて、気味のわるい笑い声を上げるエナちゃん。一歩、また一歩とぼくの方に近付いてきて…………
「くらえっお返しやーーーー!!」
「んにゃ!?」
右手で摘まんでいた自分のペットボトルを思い切り振ると、なんの躊躇もなくキャップを開封した。泡がはじける――――。
おでこの辺りからびしょびしょになったぼくは、動くことも出来ずにその場で立ち尽くしている。確かに水浴びしたいなーとは思うたけど、これじゃすっきりどころかべとべとや! アリさん寄って来てまうやん!
頬を伝う雫が口元に垂れ、それをぺろりと舐めとると――――お腹の辺りに、ふつふつと何かが沸いてきた。
「――こんのっ! せやったらこっちは倍返しや!」
「へへーん、うちだってその更に倍で返したるもんねー!」
「やれるもんならやってみぃ、ぼくはその倍の倍で返したる!」
ニヤリと笑って向かい合いながら、両手で持ったボトルを全力でシェイクする。
しゃばしゃばと跳ねる水の音がだんだん小さなって、ペットボトルの隙間は白い泡でびっしり満たされていった。……よっしゃ、準備は万端や!
お互いどっちが先に動くか牽制し合う。じりり、と左足に体重を乗せて、構えたボトルの先を相方に向けて――――
「―――…お? なんだスタエナずじゃん! こんなとこで何やってんだー?」
いきなり割り込んできた呑気な声に、ぼくらの間に立ち込めていた緊張感は、あっという間にしぼんでしまった。
体育館の入り口から頭をのぞかせたジャージ仲間――スクジャ先輩は、ぼくらを見て一瞬ぎょっとした顔になると、「お前らびしょ濡れじゃんどうしたんだよ!」と駆け寄ってくる。
数秒間の目配せ。エナちゃんもぼくも、考え付いたことは同じやったらしい。にかーと笑ってスクジャ先輩に向き直ると、そのメガネのズレた顔目がけて、パンパンにはれ上がったソーダ水を解放した。
泡がはじける。しゅわしゅわ、ぱちぱち、心地よく。
ボトルから飛び出した透明な液体は、窓から差し込む夏の日を浴びて、宝石みたいにキラキラ輝いていた。
◆◇◆
そして始まる三つ巴のぶっかけ大戦争…………\(^o^)/
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